わたしの言葉も
このようにきみの心に木霊する。
                                             だが、なんのために
薔薇のポプリの壺に置いた塵を乱すのか
わたしにはわからない。
                               他の木霊たちも
この園に住みついている。蹤いて行こうか。
疾く、と鳥が言った。見つけなさい、疾く、
その角を曲がって、と。初めの門を抜けて
鶫の声にのせられて、わたしたちの初めの世界まで。
そこに彼らはいた。いかめしく、だが目には見えず、
すいすいと枯葉の上を、動いていた。
秋の日盛りのふるえる大気の中を。
そのとき鳥が呼んだ、繁みの中に
隠れて聞こえぬ音楽に応えて。
T.S.エリオット著、岩崎宗治訳 『四つの四重奏』より




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