沖縄は、それ自体ジェンダー/セクシュアリティをめぐる抗争が生成変化されていく性=政治的な運動体なのであり、これを感知していくためには、沖縄をめぐる情動と欲望の政治性が指向されていかなければならない。そこではまず、沖縄をめぐる現在の社会政治を規定している性支配的な権力構造に作動する男たちの欲望を読み解いていく実践が不可欠な作業となる。なぜなら、この男たちの欲望の発露と否認においてこそ、沖縄をめぐる、政治、文化、社会のあらゆる領域が徹底してジェンダー的権力配置のもとに束ねられていく動きが進行し、そして同時に、ジェンダー/セクシュアリティに発動される抑圧が不可視化されていくことを通じて、沖縄をめぐる政治的暴力が社会的に構造化されるという循環が厳然として作用しているという事実があるからである。
新城郁夫『沖縄を聞く』(みすず書房, 2010)

 




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